No.1 講師作品

作品展の展示は会場が広いので、一般的には大きな作品の方がいいと言われるのですが、今回はあえてとても小さな世界を作ってみました。その制作方法を掲載します。

①スプレーバラのリトルウッズをフレッシュな時にドライフラワーに

まずは二液性レジンに入れるためにバラをドライフラワーにします。しっかり水分を抜いてから液で固めます。

教室では普通に吊り下げてドライフラワーにするのではなく、発色が綺麗になるシリカゲル乾燥方法でドライフラワーにします。花は花市場から仕入れた新鮮な花を使います。

 

②2液レジンのcleariumでマンシェッテ(フレーム)を作成

エポキシレジンとも言われるもので、プリザーブドフラワー、ハーバリウムに次ぐ新しい花の芸術品です。

ガラスのようなクリアな中に、スプレーバラの花や花びら、茎などを入れて固めています。気温の低い冬の場合は、完全に固まるまで3日くらいかかります。ハート型やリース状など3パターン作りました。

 

③マンシェッテの取り付け

オアシスの入ったブーケホルダーにマンシェッテを取り付けます。フレームになり、装飾にもなり、花がぶつかって痛むのを保護します。装飾としてフレームの周りに金をほどこしました。

④ハンドル下のアクセサリー

ハンドルの下にも装飾品。ハート型に固めたクリアリウムのアクセサリーを数種類チェーンで固めました。中にはスプレーバラの花や、葉が入れてあります。華やかさを出すために、ピンク色のビーズを3種類長さを変えて入れました。

⑤仕上げ

手元にはゴールドのリボンをつけて、ハンドルをリボンで巻き上げて仕上げました。

 

福岡県八女市の生産者さんのスプレーバラです。

使用した花材はリトルウッズという世界最小の薔薇だけです。

固めやすいサイズのバラなので、とても気に入っています。

2液レジンのcleariumでマンシェッテを作成しました。

このバラはピンクの発色が素晴らしく、とても小さいのですが長持ちします。

ハンドルのリボンでも、数日悩みました。

いくつか作った中でこのリボンがとても美しいことが分かり、決めました。

ハンドルの下にもバラを入れたアクセサリーと3色のビーズを下げました。

ハートの中にドライフラワーのバラと葉を入れました。

 

デザインのアイディアを考えて、何度も試作し、実際の作品を作り出すまで約3か月ほどかかりました。ブーケスタンドはどうするか...悩みは尽きません。

 

長年作品展に出品するようになると、何か新しいことにチャレンジすることが重要になることもあります。

前回の福岡アジア美術館の出展作品にエポキシレジンを組み入れたのはアーティフィシャルフラワー(造花)でしたので、今回初めて生花のデザインに本物の花をいれた作品を出品することにチャレンジしました。

 

また、あえて小さな作品を出すことも私にとっては冒険でした。小さな世界もまた面白いのでは、と思いました。

これはドイツで習った、「度を越えた作品」というのを習ってとても印象的だったからです。ペーターアスマン先生の、「普通このくらいだろう」と通常思うサイズの度を越した高さの作品、または「この器にはせいぜいこのサイズだろう」と通常考えるよりかなり小さな作品制作というレッスンが、今までの枠を超えていてインパクトがあったからです。既成概念を打ち破る、「破」ですね。

 

2022年の楽しい思い出になりました。

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